『第15回全国てんかんリハビリテーション研究会』がオンラインにて開催されました。

一般演題15回リハ研チラシ
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①山口規公美氏(日本橋神経クリニック)
『外来でのMOSESの取り組み』:外来で2日間という短期間で集中してMOSESを実施された報告でした。参加者の満足度はとても高く、今後も積極的に取り入れる予定との事でした。

②遠藤美幸氏(すずかけクリニック)
『PNES患者へ多機能垂直型施設の支援とQOLの変化』:福智会でのPNES患者への支援についての報告でした。PNESの治療には外来診察だけではなく、デイケアやB型作業所などでの行動療法が重要であることが報告されました。

③那須裕輔氏(国立精神・神経医療研究センター)
『てんかん学習プログラムとその後の支援』:てんかん学習プログラムが非常に困難だったに症例についての報告でした。

④中澤正氏(公益社団法人日本てんかん協会神奈川支部)
『てんかんがある方々の生活支援・就労支援~障害福祉サービスとてんかん』:障害福祉サービスの現場では、てんかんへの理解が未だに進んでいないことが報告されました。職員は発作への不安を抱えており、今後はSNSなどでの勉強会の告知が効果的ではないか、との提案もありました。どの発表もとても興味深く、活発な討論がなされました。

基調講演

【診療報酬改訂と持続可能てんかんリハ】
中里信和先生(東北大学大学院医学系研究科てんかん学分野 教授)

心理職が国家資格になったにも関わらず、現在の診療報酬制度では、てんかんリハビリテーションでも使用しているMOSESが単独で点数がとれないなどの問題点を抱えています。

てんかん患者のリハビリテーションに関わる算定が認められるようにするには、エビデンスを明確にしなくても、100例の事例検討を積み重ねる事で可能になるそうです。今後は様々な施設での事例検討を集め、診療報酬の改訂を目標にする提案が中里先生からありました。

特別公演

【ICTやAIを活用した精神科医療の展望】
岸本泰士郎先生(慶応義塾大学医学部精神・神経科学教室 専任講師)

米国のオンライン診療を誰が利用したいと思っているか、何に利用できるのかという調査では、13歳以下のお子さんを持つ親や、現在疾患にかかっている方の利用の希望が高いという結果でした。

現在日本ではひきこもりの方や強迫性障害患者には遠隔診療の方が最適ではないかと考えられており、試験をおこなっているそうです。高齢者のアルツハイマー患者などに対する認知機能検査も実施されています。

最近ではICTによる患者の重症度の判定や、話し方の特徴からAIを使った認知症早期発見、などに対する試験も実施されています。米国ではうつ病患者さんの治療に対する満足度は遠隔と対面で有意差がないと報告されており、今後は日本でも諸外国に遅れをとらないように、遠隔治療をアクティブにしていく必要があるそうです。

とても興味深い、学びある講演を聞く事ができました。