第17回全国てんかんリハビリテーション研究会がオンラインにて開催されました。
第17回全国てんかんリハビリテーション研究会がオンラインにて開催されました。
一般演題
- 「てんかんに統合失調症とアルコール依存症を合併しリハビリの継続が困難であった一例」
上西優介氏(和歌山県立医科大学神経精神医学教室) - 「発達障害を伴うてんかん患者へのゲームを利用したリカバリー支援の報告」
見山彩世氏(医療法人福智会すずかけクリニック) - 「当院のMOSESに参加したてんかん患者の体力と運動習慣・就労状況の関連について」
石川佳歩氏、藤井梨沙氏(国立病院機構静岡てんかん・神経医療センターリハビリテーション科)
特別講演
- 「なんで、私が?~若手医療者に向けたてんかん臨床研究へのいざない~」
黒田直生人先生(ウェイン州立大学ミシガン小児病院小児科) - 「障がいのある方の"超"短時間雇用ショートタイムワーク制度」
梅原みどり氏(ソフトバンク株式会社人事総務統括CSR本部CSR部多様性推進課)
「発達障害を伴うてんかん患者へのゲームを利用したリカバリー支援の報告」
当デイケアに通所されているてんかんと発達障害を併発する患者のリカバリー支援について発表しました。薬物療法を経て発作はとまっていますが、発達障害によるコミュニケーションの問題から社会参加が出来ていない事例です。
接客がしたいという夢があり、まずはデイケアでのコミュニケーショントレーニングを始めることになります。入所直後は周囲との交流が見られませんでしたが、「ウマ娘」というスマホアプリゲームをきっかけに1人のメンバーと交流をするようになります。
活動の幅が広がりを見せつつありますが、このメンバーとの1対1の関係からの広がりまでには至っていません。
そこで発達障害の特性による苦手なところを補完する手段を考える、本田秀夫先生が提唱された「トップダウン式」のアプローチで、環境づくりを行うことが本人の社会参加に向けて必要と考えました。
本人の希望する就労に向けて、本人の得意分野であるゲームを利用し、まずは活動の拠点づくりとしてデイケアでゲームを通して人と関わる経験をしていく必要があります。いずれは、ゲームプログラムをつくり同じようにゲームに興味のある人たちを意図的に集め、小さな集団から交流の場を多く提供することで人とのかかわりを増やす環境づくりをしていきたいと考えています。
今回の発表をしてみて、一人の事例を取り上げることでその人のことを深く知ることができ、また障害による特性に対してどのようなアプローチが必要かについて学ぶ機会になりました。その人によって対応は異なるため、その人の理解、治療法の検討が重要だと感じました。
医療法人福智会すずかけクリニック 見山 彩世